自分の家を購入するときには、間取りだけではなく、建物の材質などのこだわりから始まり、細部では窓のガラスの種類にまでこだわっていたりしませんか?自分の家ならばこだわるのに、賃貸住宅に住むということは、住む人が本来持っている欲求を「賃貸だから」と自分に納得させて、借りていることになるのかもしれません。
少しでも、その理想に近づけた部屋や設備を兼ね備え、貸し出すことが重要です。「まるで持ち家の様な理想的な部屋は、収入が増えたら高い家賃を払って住めば良い。」この様に思ったかもしれません。収入に見合った家に住むという点では、そのとおりだと思います。しかしながら、差別化された人気の賃貸住宅を建てるには、その感覚は多少なり捨てなければなりません。
例えば学生の中には、自分の使えるほとんどのお小遣いを払ってでも、ブランド品を購入して身に付けている人がいます。賃貸住宅に話を戻した場合も同様です。価値があると思われれば、少々家賃が高くても入居したいと思うものです。残念ながら提供者側の当たり前の発想は、ときとして変わらぬ部屋や設備を創り出してしまいます。
さてそれでは実際にはどの部分を差別化するのか、その探し方をご紹介します。
<第一:主ターゲットの決定>
第一は、どんな人に住んでもらいたいか、想定する必要があります。この想定相手を主ターゲットとします。万人から好かれるために主ターゲットを決めない部屋作りをお勧めする方もいますが、万人に好かれるということは、部屋全体的に質を向上させる作り方が必要となってきます。全体に少しずつ質を上げても特徴的ではない物件になり、差別化し辛いということになります。そのため万人に好かれる部屋作りではなく、主ターゲットを決めて、ある一部が特徴的に向上している様な部屋作りをお勧め致します。
<第二:利用シミュレーション>
次に、前ページで想定した大学生向けの物件洗い出しの様に、主ターゲットが実際に入居したと仮定して部屋や設備を書き出していきます。この書き出しは、利用シーンの洗い出しに基づいて書き出していきます。自分が主ターゲットになったつもりで、朝起きて、どの設備を使い行動しているか、何時に部屋に戻り何をしているか生活シミュレーションを実施して下さい。
少なくとも1週間(出来れば季節も想定する)の生活シミュレーションを行い書き出していくと、普通の生活でどの部分を多く使い、どの様なことを求めているか見えてくると思います。この部分は3つ目の「差別化への要素検討」に生きてきます。
<第三:差別化への要素検討>
3つめに行うことが差別化要素となります。2番目に実施した書き出しが平均的な状態と考えて下さい。その平均状態から、どの部分を向上させるか検討を行います。2番目に行ったシミュレーションによって、入居者ターゲットのニーズは見えてきているのではないでしょうか?その主ターゲットのニーズになるべく沿って、差別を図ることに優先順位を付けて、資金の範囲内で平均より向上させることで、差別化を図れるようになってきます。
前ページの大学生が主ターゲットの場合では、憧れる部屋をコンセプトとして、ワンルーム、ロフト、キッチン広め、エアコン、照明完備、乾燥機付きなどでも差別化を図れるかもしれません。勿論、間取りはもっと重要になってきます。例えば、1LDKなどの場合は更に差別化を図れますが、賃料とのバランスになりますので、2番目で実施した優先順位も加味してみて下さい。全部を求めず、何点かに絞って特化することで、気が付けば近隣の物件とは差別化が図れているはずです。
上記は土地や周辺環境を加味していない場合の考え方です。実際に建てる場合には、土地の性質や近隣環境などを分析も必要になってきます。また土地の大きさや資金、数十年の収支計算などの加味も必要となってきます。以上を加味した上での差別化を図るには、不動産有効活用のコンサルティング会社(建築会社や設計会社ではなく)に依頼して検討を行うことをお勧めします。